
⑤ジャニーズ事務所のプロデュース力
②と関係していますが、ほとんど知られていない若者が、ジャニーズというだけで注目され、本人たちの力だけでなく事務所の力で人気を獲得するという構図があると思います。
これについては、「嵐」のデビュー事例をあげてみたいと思います。
嵐は199年にハワイ・ホノルル沖のクルーズ客船でデビュー記者会見を行いました。しかし、実はメンバーのうち大野智、櫻井翔、二宮和也の3人は退所を考えていたそうです。
また、この3人の他に興味深いのは相葉です。ハワイ渡航3日前になってジャニー喜多川から「YOU、パスポート持ってる?」の質問に「あります」と答えたところ「一緒にハワイに行こう」と言われ、「何も知らずに行ったら自分も嵐になっていた」とのこと。
そういう経緯でデビューしたのにも関わらず、初シングル『A・RA・SHI』は初週55.7万枚を売り上げ、オリコン週間シングルランキング1位となりました。
⑥歌って踊れる少年アイドル市場はジャニーズが作った
初代ジャニーズが注目されたのは「男子が踊ることが珍しい時代」という時代背景があったが、それ以降もジャニーズは歌って踊れる男性アイドルをデビューさせていった。今でこそそういったタレントは、他事務所からも出ているが、そもそも芸能界でそういった市場を開拓したのはジャニーズ喜多川でありジャニーズ事務所だった。そういう先行者の優位性がジャニーズにはあったと考えられます。
⑦働きやすい環境
ジャニーズのタレントは、たびたびジャニーへ喜多川への要望を伝えています。「このメンバーで活動したい」(King&Prince)「休みをもらって留学したい」(Hey!Say!JUMPの岡本圭人)「個人の活動をもっとしたい」(たのきんトリオなど)などなど。そういった要望が比較的通りやすく、タレントとして働きやすい環境がジャニーズにはあったと思われます。
アイドルと言うと若いうちだけ、というイメージがあるかもしれません。女性イドルのいわゆる「坂道グループ」などは、年齢が上になると「卒業」という形でグループを脱退しています。また、グループ自体の解散も、多いという現状があります。
しかし、ジャニーズはほとんど解散のない事務所です。特に、1995年に光GENJIが解散してから2016年にSMAPが解散するまでの20年間は、グループの解散がありませんでした。これは、人気の浮き沈みが激しい芸能界ではまれなことではないでしょうか。
また、解散しても個人としてジャニーズに残るタレントも多く、比較的働きやすかったり残ることのメリットが感じられる環境が整っていたと推察できます。
参考 https://toyokeizai.net/articles/-/848771
【3】おわりに
以上のように、圧倒的な人気を得ていたジャニーズのアイドルたち。しかし、2019年の設立者のジャニー喜多川の死去。2023年のスキャンダルの表面化よって、ジャニーズの名前は消え去ることになりました。
2023年10月に、ジャニーズ事務所は「SMILE-UP.」と社名を変更し、被害者への補償業務に専念することとしました。
また、これに伴い「関ジャニ∞」「ジャニーズWEST」「Sexy Zone」がグループ名を改名。子会社のジャニーズアイランドが「株式会社Annex」へと社名変更などが行われました。
2023年12月には、新たにマネージメント業務を移管する先のエージェント会社の社名が「株式会社STARTO ENTERTAINMENT(スタートエンターテイメント)」となることが発表されました。
こうして「ジャニーズ」の名前は芸能界から消えつつあります。しかし、過去にジャニーズからデビューした多くのタレントたちは、現在も活発な芸能活動によって人気を得ています。
「ジャニーズ」の名前が消え去ったあと、彼らがどうなっていくのか、また新会社からどんなアイドルが羽ばたいていくのか興味深く見守っていきたいと思います。
