【1】はじめに

 私は、ジャニーズ事務所(現在は株式会社SMILE-UP.)のWEST.というグループのファンです。
(中略 いろいろ思いを語ってください)
 さて、ジャニーズ事務所(以下ジャニーズと記載)には、WEST.の他にも広く国民に知られたグループがたくさんあります。これは、ここ数年というスパンではなく、数十年続いています。
 そこで、なぜジャニーズのタレントがこんなに人気なのかについて興味をもち、調べてみました。

【2】

(1)ジャニーズについて
 ジャニーズは、主として男性アイドルグループの育成とマネジメントを行っている芸能事務所です。1964年に、ジャニー 喜多川によって設立され、多くのアイドルグループを生み出してきました。
 ジャニーは、プロデューサーとして多くの成功を収め、3つのギネス世界記録を保有していました。以下の3つです。
・最も多くのナンバーワン・シングルをプロデュースした人物
・最も多くのコンサートをプロデュースした人物
・最も多くのチャート1位アーティストを生み出したプロデューサー
このように、敏腕プロデューサーのジャニーのもとで、多くの人気タレントが排出されました。

(2)ジャニーズの歴史
ジャニーズ事務所ができて、さまざまなアイドルグループがデビューして活躍するまでの歴史です。意外なことにジャニーズは、元々は芸能活動を目的とした団体ではなかったことがわかりました。
①ジャニーズは野球チームだった!
日系二世で、1953年に米国大使館の通訳として来日したジャニー喜多川は、通訳士の仕事をしつつ近所の子供たちに野球を教えていました。チームは弱かったためジャニーはヘターズやエラーズなどと呼んでいたが、所属していたあおい輝彦の提案で名付けられたといいます。

初代ジャニーズ(1962年4月~1967年12月)のメンバーだったあおい輝彦は、次のように語っています。

引用開始

当時、米国籍のジャニーさんは代々木の在日米軍施設で、僕たちの野球チームの監督をしていました。
へたくそだったのでチームの名前は「ヘターズ」「エラーズ」とかふざけてて。ただ、練習を頑張っていたら強くなってきまして。僕が「かっこ悪いし、ジャニーさんが監督なんだし、ジャニーズにしましょうよ」っていって、「ジャニーズ」になったというのです。「ヘターズだったら、事務所としても売れなかったよね」って笑っていました。

引用終了
出典(あおい輝彦が独占手記、ジャニーさん死去に「兄貴を亡くした気持ち」
https://www.sanspo.com/article/20190711-LWMLWC32TBLKPOGWYYA6FU64TQ/

ということで、ジャニーズの出発は少年野球のチームだったようです。

②野球からエンターテインメントへ
雨で野球の練習ができなかったある日、映画『ウエスト・サイド物語』をみんなで見たそうです。そのことがきっかけで、ジャニーはエンターテインメント事業への参入を決意。ジャニーズのメンバーもダンスのレッスンを受けました。
そして、昭和37年4月、野球チームのメンバー4人でジャニーズを結成。
そして、初期のジャニースについて、先のあおい輝彦の手記から引用してみました。

引用開始

そうそう、僕らがデビューする直前に、日本テレビ系「味の素ホイホイ・ミュージック・スクール」で木の実ナナさん(73)のバックダンサーとしてシルエットで出演したこともあった。シルエットだから顔も分からないし、まだ男子が踊ることが珍しい時代でしたから「誰だ?」と問い合わせが殺到して、火が付いたんです。
 ジャニーズワールドは立派な巨木に成長しましたが、最初の小さな種になれたことを誇りに思っています。フォーエバージャニーズ! フォーエバージャニーさん!

引用終了
出典(あおい輝彦が独占手記、ジャニーさん死去に「兄貴を亡くした気持ち」
https://www.sanspo.com/article/20190711-LWMLWC32TBLKPOGWYYA6FU64TQ/2/

日本では、男性がバックダンサーとして踊るというのは今でもあまりないと思いますが、当時としては相当インパクトのある映像だったと思われます。
当時の芸能界には、「御三家」と呼ばれた人気絶頂の男性タレントたちがいました。しかし、橋幸夫も舟木一夫も西郷輝彦も歌うことはあっても、ダンスを踊るというイメージはなかったと思います。
そんな中、踊る若い男性アイドルというのが世間に注目された要因の一つだと考えます。いわゆる「歌って踊れるアイドル」の日本での誕生です。

③初代ジャニーズの快進撃
芸能界とは全く関係のない少年野球チームの4人がメンバーとしてデビューした初代ジャニーズ。芸能プロのオーディションで選ばれたわけでもなく、最初から芸能界を志望していたわけでもない野球少年がどうなったでしょうか。
・初代ジャニーズは、1962年8月、NHKの番組『夢であいましょう』で田辺靖雄のバックダンサーとして芸能界デビュー。
・1963年1月、『日劇ウエスタンカーニバル』に出演し、伊東ゆかりの「ロコ・モーション」のバックダンサーを務める。
・1964年6月にジャニー喜多川がジャニーズ事務所を創業。

ここで気づくのは、初代ジャニーズのデビュー後にジャニーズ事務所が設立されたということ。少し意外な事実です。

・1963年12月、『若い涙』でレコードデビュー。この曲は、先のNHKの番組『夢であいましょう』内のコーナー「今月の歌」で採用。
・1965年、NHK紅白歌合戦に出場。

ということで、ジャニーズ初のアイドルグループ「ジャニーズ」は、「歌って踊れるアイドル」として人気を得ました。

その後のジャニーズ事務所からも多くのアイドルグループがデビューし、人気を博しました。

(3)ジャニーズのアイドルたち

ジャニーズの人気アイドルグは、どのようなグループがあったのか。ジャニーズは人気があり、今も人気であるという根拠として、初代ジャニーズ以降について調べてみました。それぞれのメンバーやヒット曲や活動と、グループ名の由来についても調べてみました。上で記したジャニーズの名前の由来が興味深かったからです。

フォーリーブス(1968年ー1978年)
◯ジャニー喜多川が脚本を書いたミュージカル『いつかどこかで〜フォーリーブス物語』内のグループ名から。
◯メンバー
 ・北公次 ・青山孝史 ・江木俊夫 ・おりも政夫
◯主なヒット曲と活動
 ・「夏の誘惑」(1971年) ・「地球はひとつ」(1971年) 
 ・1970年にはブロマイドの売上げが男性歌手部門の1位になり、トップアイドルとなった。

たのきんトリオ(1981年-1983年)
◯グループ名の由来 
 公募が行われ、約28000通のハガキが寄せられた。そして「たのきん」の名はジャニー喜多川が発案した。しかし、ファンから「かっこ悪い」の声が上がり、田原は自伝『職業=田原俊彦』で「どこかおっちょこちょいなイメージがして、僕個人はあまりうれしくなかった」といったことを述べていた。ジャニー喜多川も記者会見で「これ冗談じゃないよね。誰が考えたの」など言われ、自分が発案したとも言えず「ホント、誰でしょうね」ととぼけていたと話している。
◯メンバー
 ・田原俊彦(リーダー) ・野村義男 ・近藤真彦
◯主なヒット曲と活動
・それぞれのメンバーがソロとして活躍していたため、グループとしてのヒット曲はほとんどない。
・TV番組「3年B組金八先生」3人とも生徒役として出演

少年隊(1981-)
◯グループ名の由来
・前提として、ジャニーズの研究生は、「ジャニーズJr」と呼ばれていた。しかしある時から「ジャニーズ少年隊」と呼ばれることになった。
・そして、「少年隊」というネーミングについて、メンバーの錦織一清は以下のように語っている。
「当初使っていたのが、『ジャニーズ少年隊』ということになります。じゃあデビューになりましたって言っても、どういう名前がいいのって言われた時に、『そのままでいいよ』って。最初はそんな感じでやってて、デビューにあたっては"ジャニーズ"という、上のところを取って"少年隊"だけになった」(錦織一清 『少年隊』の命名秘話 シャニーさんの狙い「聞き間違えるからいいじゃない」 https://news.ntv.co.jp/category/culture/67d54ea278334cf58be5abc4c433d30a
◯メンバー
 ・東山紀之 ・植草克秀 ・錦織一清
◯主なヒット曲と活動
・「仮面舞踏会」「君だけに」など
・フジテレビのバラエティ番組『少年隊夢』少年隊の初の冠番組など

光GENJI(1987年-1995年)
◯グループ名の由来
・1987年3月に10代前半のメンバー6人の「初代GENJI」が結成される。これに1987年6月、10代後半のメンバー2人の「光」が合体し、「光GENJI」が結成された。
◯メンバー
・内海 光司(リーダー)
・大沢 樹生(1994年に脱退)
・諸星 和己
・佐藤 寛之(1994年に脱退)
・山本 淳一
・赤坂 晃
◯主なヒット曲と活動
・「勇気100%」(『忍たま乱太郎』の主題歌)「パラダイス銀河」(日本レコード大賞を受賞)
・ローラースケートをはいて、踊りやバク転などもこなすアクロバティックなパフォーマンスにより人気となる。
・テレビ東京系のドラマ『あぶない少年』での主演

SMAP(1991年-2016年)
◯グループ名の由来 「Sports Music Assemble People」の頭文字から。
 ※スポーツ・音楽・人々を結びつけるグループ という意味
◯メンバー
 ・中居正広(リーダー) ・木村拓哉 ・稲垣吾郎 ・草彅剛 ・香取慎吾
◯主なヒット曲と活動
 ・「世界に一つだけの花」(2003年)
 ・「青いイナズマ」(1996年) 初のミリオンセラーとなったシングル曲
 ・「夜空ノムコウ」(1998年)
  『SMAP×SMAP』テーマソング
 ・TV番組『SMAP×SMAP』(1996-2016)
  SMAPによるバラエティ番組

TOKIO(1994年-)
◯メンバー
・城島茂 ・国分太一 ・松岡昌宏 ・長瀬智也(2019年に脱退)
・山口達也(2018年に脱退)
◯主なヒット曲と活動
・「LOVE YOU ONLY」「AMBITIOUS JAPAN!」「宙船」など
・TV番組「ザ!鉄腕!DASH!!」など多くのテレビ番組に出演

V6(1995年-2021年)
◯グループ名の由来
・V6は、『バレーボールワールドカップ』のイメージキャラクターとして結成。
 V6の「V」には、「volleyball」(バレーボール)、「victory」(ビクトリー)などいくつかの意味が込められている。「6」は6人組であることから。ちなみに中国語での表記は「勝利六人組」
◯メンバー
・坂本昌行 ・長野博 ・井ノ原快彦 ・森田剛 ・三宅健 ・岡田准一
◯主なヒット曲と活動
・「愛なんだ」「WAになっておどろう」など
・『バレーボールワールドカップ』の大会中継に出演。翌1996年からは『春の高校バレー』のイメージキャラクターを務めた。

嵐(1996年ー2006年)
◯グループ名の由来 「世界中に嵐を巻き起こす」など
 ※他に、「アルファベット最初のAで始まるため、『頂点に立つ』という意味」など
◯メンバー
 ・大野智(リーダー) ・相葉雅紀 ・松本潤 ・二宮和也 ・櫻井翔
◯主なヒット曲と活動
 ・「A・RA・SHI」(1999年)デビュー曲
  フジテレビ系『ワールドカップバレーボール'99』のイメージソング
  2014年NHK紅白歌合戦の白組の「トリ」の曲
 ・『Love so sweet』『One Love』『Monster』『truth』『サクラ咲ケ』『Happiness』など
 ・メンバーそれぞれが社会貢献活動や慈善活動にも積極的に取り組んでいる。
 ・2020年12月にグループとしての活動休止を発表。
 ・現在は個々での活動を続けている。

Hey! Say! JUMP(2007年-)
◯グループ名の由来
「Hey! Say! Johnny's Ultra Music Power」の略で、「メンバー全員が平成生まれで、平成の時代を高くジャンプしていく」という意味が込められている。グループのメンバーが平成生まれ
◯メンバー:
 ・山田涼介 ・中島裕翔 ・有岡大貴 ・伊野尾慧 ・八乙女光
 ・薮宏太 ・高木雄也 ・岡本圭人(2021年に脱退) ・知念侑李
◯主なヒット曲と活動
・「Ultra Music Power」「Dreams come true」など
・テレビドラマやバラエティ番組、舞台など多方面で活躍

King & Prince(2018年-)
◯グループ名の由来
・元は、2つのユニットだった。平野紫耀・永瀬廉・髙橋海人の「Mr.King」。岸優太・岩橋玄樹・神宮寺勇太の「Mr.Prince」。この2つのユニットによる「王とプリンスの戦い」「それぞれが切磋琢磨していく」という意味が込められていた。
・2017年にメンバーが「6人で改めて気持ちを一つにしてデビューしたい」との気持ちをジャニー伝えた。
・2018年に「6人一緒に」という意味を込め、グループ名をKing & Princeとした。
◯メンバー
 ・平野紫耀(2023年に脱退) ・永瀬廉 ・髙橋海人
 ・岸優太(リーダー 2023年に脱退) ・神宮寺勇太(2021年に脱退)
 ・岩橋玄樹(2021年に脱退)
◯主なヒット曲と活動
・「シンデレラガール」「君を待ってる」など
・日本テレビ系列のバラエティ番組『King & Princeる。』など

このように多くのアイドルグループがデビュしました。ソロでも郷ひろみ、たのきんトリオの3人、川﨑麻世など多くのタレントが活躍しました。

なお、ジャニーズからは男性アイドルだけがデビューしていると思っていましたが、1984年にオレンジ・シスターズ(吉竹加世子 酒井妙 吉川聖美)という女性3人組のグループがデビューしていました。

このように、1962年の初代ジャニーズ以降、多くの人気タレントを排出したジャニーズ事務所。その人気は多くの人が認めるものと思います。

(4)校内アンケートから

(5)ジャニーズ人気の考察
このように、人気のあるジャニーズタレントですが、その人気の理由を考察してみました。
①歌って踊れるアイドル
 初代ジャニーズの頃には、日本で歌手といえば「歌」に重きが置かれ、「歌いながら踊る」というタレントはほとんどいなかったと思われます。そこに、アメリカのような「歌って踊れる男性アイドル」というのが注目され、今もその流れは続いています。

②ジャニーズというブランド
・ジャニーズからデビューと言うだけで、どんな人がなんとなく想像できます。個性的なルックスではなく、かわいかったりイケメン。運動神経がよく細マッチョ。笑顔が爽やか。そういった若者だろうと。
間違っても七色の髪をしていたり、タバコをスパスパ吸っていたり、首にごつい金ネックレスであごひげを生やしていたり。影のある個性的なキャラとか、そういうのはないだろうと想像できます。いい意味での「量産型」かなと思います。

③練習生制度があること
上のことと関係があるかもしれませんが、ジャニーズには練習生制度がありますね。「ジャニーズJr.」→「ジャニーズ少年隊」(少年隊のデビュー当時はこう呼んでいたそうですね)→ 「ジャニーズJr.」と呼ばれています。
この研修生はひたすら練習しているのではなく、Jr時代からグループを作って 活動しています。
そして、メジャーデビュー前から多くのファンが付いている。そして、ファンが増えた状態でメジャーデビューすると、デビュー当初から人気となるという構図があるのかなと思います。ファンにとっては「自分が育てた〇〇」という意識があるのかもしれません。
また、Jrの層が厚ければ、その中で競争が生まれ、人気が出たり才能があったり他のメンバーから好かれたり(いっしょにデビューさせてほしい、とジャニーさんに直談判というのはWEST.の他にもあるようです)といった人だけがデビュー。ということで、デビューした段階である程度の人気やアイドルとしての素質があるということです。

④イケメンボイス
ジャニーズのアイドルの歌声って、なんだか似ている気がします。サザンのような個性的な声でも、ひくーい男性的な声でもなく、「若くてカッコいい声」。ジャニーズのイメージを保つようなイケメンボイスのメンバーがジャニーズにはそろっている。これがジャニーズ魅力であり、人気の理由の一つかな、と思います。

おすすめの記事